長澤:きれいに撮っていただけています。

林:「海街diary」では、小津作品みたいに畳に座るシーンが多いじゃないですか。長澤さん、脚が長いから窮屈そうに座るんだけど、そこで長い脚がさらに強調されるんですよね。きっと是枝(裕和)監督が意図したんだなと思いましたよ。

長澤:監督という職業は、すごいですね。でも、コワいですからね。何を考えてるか、どう料理されるかわからない。私たち役者なんて、手のひらの上で転がされてるだけですから。

林:いま、大女優への道を着実に歩んでいるわけですけど、これからこういうのに出たいとか、あるんですか。

長澤:あります。私、李相日監督の作品が好きで、出てみたいんですよ。

林:公開中の映画「怒り」の監督さんですね。「悪人」(10年)ではそれまで好青年を演じていた妻夫木聡君に、「えっ、こんな人だっけ?」という役をやらせちゃって、びっくりしましたよ。そうそう、長澤さん、(ビート)たけしさんに、「ポルノ映画に出てもかまわない」って言ったって本当ですか。週刊誌の見出しにありましたけど。

長澤:いやいや、あれは「東スポ」の書き方です。「海街diary」で東スポ映画大賞をいただいたときに、たけしさんが「そういう映画もやってもらって」みたいなことをおっしゃったんです。ガダルカナル・タカさんに「どうですか、長澤さん」って言われて、「やりたくないです」と答えるのも大人としておもしろくないから、「ああ、いいですよ」って(笑)。

林:スポーツ紙とかオジサン週刊誌の広告とか見てると、「長澤まさみ、ついに脱ぐ」とか、しょっちゅう出てますよ(笑)。

長澤:見たい願望があるんでしょうか(笑)。スタイルを認めてもらえる機会が増えたから、そういう印象が強いのかもしれないですね。私よりも露出度の高い洋服を着てる人って、いっぱいいると思うんです。ある意味、両親に感謝ですね。

林:私は娘に申し訳ないことしちゃったかな……。オジサンたち、長澤さんがちょっと露出するだけで勝手に騒いじゃうんですね。

長澤:私もふざけてるんで、おもしろいことを言いたくなっちゃうんです。

週刊朝日  2016年10月7日号より抜粋