多くの男子小学生を悩ませたあの悩みは過去のもの? (写真はイメージ)
多くの男子小学生を悩ませたあの悩みは過去のもの? (写真はイメージ)

 入り口のドアを開けると、小便器の列はなく、個室が並んでいた。壁は水色、照明はLED電球で、さわやかできれい。まるでデパートの化粧室のようだが、公立小学校の男子トイレだ。

「昔とイメージが全然違うでしょ」

 と、神奈川県大和市立文ケ岡小学校の校長は話す。

 大和市では公立の小中学校で改修工事が進められており、今年度から1階の1カ所の男子トイレを対象に小便器をなくし、全て個室にする。すでに小学校4校、中学校1校で整備を行った。

 背景にあるのは、男子生徒のトイレの“大”問題、排便に関する悩みだ。個室に入った時点で「大」だと周囲にわかってしまい、からかいの対象になる。恥ずかしさから学校で排便を我慢する男子生徒は少なくなく、課題だったという。同市の教育総務課長はこう説明する。

「市の教育委員会でも、男子生徒が下校中に大便を漏らしてしまったなど深刻な状況があることは把握していました。個室化は選択肢を増やして、気兼ねなくトイレに行けるようになれば、と進めています」

 こうした男子生徒特有の悩みは全国的な傾向だ。NPO法人日本トイレ研究所が今年3月に実施した調査によると、小学生のうち2人に1人が学校でウンチをしないと回答した。その理由は、「友達に知られたくないこと」(55.9%)など人目を気にする回答が上位を占め、特に男子小学生では「友達にからかわれること」が67.9%と最多となった。女子より30ポイント以上多かった。

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