津田大介「ローカル報道衰退のこわい副作用」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「ローカル報道衰退のこわい副作用」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

タブレットで見るニューヨーク・タイムズ電子版(撮影/小原雄輝)

タブレットで見るニューヨーク・タイムズ電子版(撮影/小原雄輝)

 最も顕著な例は、カリフォルニア州ベル市で起きた公金着服事件だ。同市は98年に地元紙が休刊、テレビ局も市役所に担当記者を置かなくなったことで行政の監視者がいなくなった。その結果、市の行政官たちがそれまで500万円だった自身の年俸を6400万円まで引き上げたのだ。同リポートでは、記者が取材をする都市では現職の立候補や再選が減るという事実も明かされている。共同体にとってローカル報道がいかに重要なのかよくわかるエピソードだ。

 これは、日本の全国紙やキー局が永田町の問題を中心に報道してきたため、東京都政の問題が十分に報道されないエアポケットとなり、それが豊洲への市場移転を巡るゴタゴタの原因になったこととも無関係ではない。肥大化した行政を止められるのは、政治よりも優れたローカル報道なのだ。

 ローカル報道のノウハウは地方紙にある。そのノウハウを、紙以外のデジタルでどうお金に換えていけるか。NPOとの協働やクラウドファンディングの活用など、様々な試行錯誤を行うことで未来に続く道を模索していくしかない。

週刊朝日 2016年10月7日号


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津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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