北原みのり「『慰安婦』たちの記録」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「『慰安婦』たちの記録」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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「慰安婦」がユネスコ記憶遺産に登録されることの意義とは? (※写真はイメージ)

「慰安婦」がユネスコ記憶遺産に登録されることの意義とは? (※写真はイメージ)

 ちなみに南京大虐殺については、殺された人数があやふやだ、という批判が日本からあったそうだ。でも、殺された人数は重要ではないという。重要なのは、記録が事実に基づいているものかどうか。そのために政治やお金で心動かされない、登録によって利益を得ることのない専門家集団が徹底的に審査するという。お金とか政治の話をして文句言っても無駄ってことです。

 今年申請された「慰安婦」の記録は、戦争中だけのものではない。女性たちの闘いの記録も、申請された。91年に金学順さんが初めて声をあげて以来、女性たちは国内・国外から心ない言葉を浴びせられてきた。それでもこれは女性の人権の問題なのだと闘い、加害国の責任を追及し、自国の加害にも声をあげ(韓国軍のベトナム戦争時の暴力についてなど)、国境を超えて連帯し、「慰安婦」問題を国際世論に訴えてきた。そういった女性たちの運動も、「慰安婦」の記録だ。

 去年の年末の日韓合意後、日本政府は「慰安婦」問題を「忘れよう」という方向で走りだしている。そうはさせない、起きたことはなかったことにさせない、という女たちの闘いは続いている。巨大な国家相手に四半世紀にわたって闘い続けた女たちの記録が、人類の遺産として残されることを、私は日本人として、女として願う。

週刊朝日 2016年9月30日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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