さて、もう一つ気をつけたいのが、「相続」について。これについては、うかつにノートに書くべきではないそうだ。明石氏はこう語る。

「エンディングノートは遺言書と違い、法的な効力がない『メモ書き』という扱い。下手に財産の分与について書き残すと、その意思をめぐって親族間の争いの元になってしまう。もし財産分与について決めておきたいならば、遺言書作成の専門家に相談した上で、遺言書を残すなどの手段をとっておきましょう」

 さらに、自身の銀行の口座や、持っている不動産、加入している保険の一覧、親族の関係図などはエンディングノートに書いておくと、相続手続きの際に遺族が困らないようだ。ただし、盗難や盗用の恐れがあるので、口座の暗証番号や預金額までは記さなくてよい。

「エンディングノートは、あくまでも自分の今後について考え、家族と話し合うきっかけのツール。ノートの項目をすべて埋める必要はなく、自身が書き残しておきたい部分だけピックアップして書けばいいのです」(明石氏)

週刊朝日 2016年9月30日号