50年前、初来日したビートルズ (c)朝日新聞社
50年前、初来日したビートルズ (c)朝日新聞社

 ビートルズ初来日から50年が経過したが、今もなお幻の映像が収められたドキュメンタリー、オリジナル音源が収録されたCDが続々登場。「ビートルズ・ストーリー」編集長の藤本国彦氏が、色褪せぬ魅力とともに日本のロックに与えた影響について寄稿してくれた。

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 新しいレコードが発売され、映画が公開され、関連書籍が出版され、特集記事がこうして組まれる。解散後、半世紀も経とうというのに、21世紀の現在でもなお、まるで“現役”のような存在感がある。

 古くて新しい──。その理由を一言でいうなら、たとえばそんな言葉になるだろうか。1950年代以前のロックンロールやリズム&ブルースなどの影響を受けながら独自の音楽を生み出していったビートルズは、文字どおり“温故知新”を地で行くバンドでもあった。

 試しにアイズレー・ブラザーズとビートルズの「ツイスト・アンド・シャウト」を聴き比べてみてほしい。管楽器を取り入れたR&Bが、パンキッシュなロックへと変貌している。カバー曲もオリジナル曲のように思わせるビートルズ・マジックのひとつだ。

 では、先達の影響を取り入れたビートルズが、その後のロックに与えた影響についてはどうか。2016年はビートルズ来日50年となる記念の年でもあるので、ここでは日本のロックに与えた影響について触れてみたい。

 直接的な影響としてまず外せないのは、GS(グループ・サウンズ)だろう。ブリティッシュ・ビート(昔風に言うとリバプール・サウンド)を日本流にアレンジした和製ロックが日本で流行したのは、ビートルズがアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を発表した67年以降のことだった。GSのミリタリールックにも、そのアルバムで軍服を着ていたビートルズの影響は大いにあった。ほかにも、リーゼントと革ジャンのロッカーだったデビュー前のスタイルは、70年代以降のキャロルをはじめとしたロックンロール・バンドに受け継がれている。

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