津田大介「電子で増加に転じる書籍市場」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「電子で増加に転じる書籍市場」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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読書における紙の本の優位性はまだまだ強固なようだ (※写真はイメージ)

読書における紙の本の優位性はまだまだ強固なようだ (※写真はイメージ)

 電子書籍の伸びが頭打ちというと暗い話のように思えるが、出版業界全体を見るとまた違った状況が見えてくる。紙の出版物の総販売金額を発表している公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所のデータと、電子書籍の総販売金額を発表しているインプレス総研のデータによると、12年以降、紙と電子を合わせた書籍全体の販売金額はプラスに転じているからだ。

 紙の出版物で危機的状況にあるのは「雑誌」だ。1997年のピーク時と比べ、現在の販売金額は半分程度まで落ち込んでいるが、書籍の落ち込み幅は雑誌ほどではなく、むしろ電子書籍市場の拡大がその落ち込みをカバーしている。

 ちなみに、筆者は圧倒的に紙の本を買うことが多いが、資料的な価値が高く、後で読み返すことの多い本は電子書籍で買っている。紙の本にはない「検索」機能があるからだ。紙で買った本をキンドルで改めて「買い直す」こともあるし、最近は電子書籍をリーダーの読み上げ機能を使ってオーディオブック化し、車を運転中にラジオ代わりに本を「読む」ことにハマっている。電子も含めた書籍市場の増加は吉兆だ。出版業界は、筆者のように用途に応じて紙と電子を使い分けて購入する層を増やすことで、書籍市場全体を伸ばす可能性に目を向けるべきだ。

週刊朝日 2016年9月23日号


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津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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