室井佑月 泉田新潟県知事に「らしくない行動はどうして?」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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室井佑月 泉田新潟県知事に「らしくない行動はどうして?」

連載「しがみつく女」

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泉田新潟県知事は脱原発派の力強いリーダーだった…(※写真はイメージ)

泉田新潟県知事は脱原発派の力強いリーダーだった…(※写真はイメージ)

 どちらの理由も、納得できない。泉田氏はこれまで東京電力という恐ろしい力と激しく戦ってきた人だ。そんな方が、新聞スクープの評判を気にしてとか、選挙の対抗馬に負けそうだからなどという理由で、その身を引っ込めるだろうか。

 あたしはこの週刊誌で、一度、泉田知事と対談をさせていただいたことがある。彼は威張らず、豊富な知識をわかりやすく静かに語る人だった。

 そして、話をしているうちに、彼は自分の身を顧みず、この国について真剣に心配しているのだとわかった。今の政治の世界ではそういう人は稀なので、だから「変人」などといわれるんだろうな、とやけに納得したのを覚えている。

 彼の身になにかあったのか? らしくない行動はどうして?

 ただ、泉田知事が、8月31日の記者会見では、

「私が引くと、原発にどう向き合うのかなどの純粋な議論ができる。引いた方が思いが遂げられる」

 と述べたらしい。あたしは彼のその言葉に期待する。「私が引く」というのは新潟県知事というポジションからであって、彼はその先の「議論」をしていくつもりなんではないか。「思いが遂げられる」というのは、この国が脱原発に進むこと。

 もしかすると彼は、新潟県を飛び越えて、我々国民に正しい方向を示してくれようとしているのでは……そんな風に期待してしまう。彼はもう十分に我々のために頑張ってくれた人、それはわかっているけれど。

週刊朝日 2016年9月23日号


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室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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