「いやいや、最近のカープの財布事情は以前とはずいぶんと変わり、けっこう潤沢な資金があるんです」と、前出のスポーツ紙デスクが解説する。

 観客動員数はマツダスタジアム初年度の09年に約187万人を記録。その後の4年間は150万~160万人で推移したが、13年に初めてクライマックスシリーズに進出すると、翌14年には190万人、黒田ブームで盛り上がった昨年は211万人と過去最高を更新した。今年は主催試合を6試合残した9月10日現在で196万6811人だから、2年連続の200万人超えも確実だ。

 入場料収入だけでなく、グッズの売上額も増えているという。

「球団の昨年の年間売上高は史上最高の148億円でしたが、グッズの売上高も35億7500万円で対前年比10億円増。07年まで1億円にも満たなかった最終利益は、14年に5億円超、昨年は7億円超でした」(同デスク)

 関西大学の宮本勝浩名誉教授は、カープが優勝した場合、広島県内における経済効果は331億4916万円に上ると試算する。

 一方で、契約上手な球団の手腕も評価される。

「今季のセ・リーグの年俸ランキングも上位には巨人の選手が多い(ベスト10に6人)ですが、1位は6億円の黒田です。選択と集中ですよ。カープで彼以外の1億円プレーヤーは、外国人選手を除けば石原慶幸だけ。新井に至っては復帰した15年は2千万円、今年も6千万円ですが、FA阪神に出ていった経緯からカープに復帰できたことを恩義に感じ、死に物狂いで練習し、39歳にしてアウトローが打てるようになり、大活躍ですよね」(同)

 本拠地移転を機に売り上げを伸ばし、増えた利益を人件費に回しただけでなく、それを核となる選手に集中させたカープ。その成果が首位独走につながった。

週刊朝日 2016年9月23日号