フィンテックの紹介コーナーがあるみずほ銀行の支店(5月撮影) (c)朝日新聞社
フィンテックの紹介コーナーがあるみずほ銀行の支店(5月撮影) (c)朝日新聞社

 年齢は、運用目的は、資金額は、資産がマイナスになったらどうするか……。

 運用会社のサイトで質問にいくつか答えていくと、投資目的やリスク許容度、投資対象などが診断される。最適な分散投資のパターンを算出してくれ、運用もおまかせにできる。そんな「ロボアドバイザー投資」が続々と登場している。

「ロボアドバイザー投資は定型化した計算式であるアルゴリズムに基づき、その人に最適な運用を算出するのが特徴です。資金はそのまま運用され、投資家は資金を預けておくだけで何もする必要はありません」

 と解説するのは、トムソン・ロイター・マーケッツの渡邊竜士氏。

「2010年ごろにアメリカで始まった金融サービスです。かつては富裕層のものだった『おまかせ投資』のサービスを自動化して低コストで提供したことで、一般に広がりました。当初は数社のベンチャー企業だけだったのが、現在は大手金融機関や投信会社も巻き込み、上位5社だけでも約200億ドル(2兆円)の運用資産を持っています」

 おまかせ投資といえば、日本にも以前から、証券会社などが扱うラップ口座があった。両者について、ファイナンシャルプランナーのカン・チュンド氏は「最大の違いはコストです」と指摘する。

「いずれも運用資産から一定率の手数料が引かれます。また、投資対象の投資信託やETF(上場投資信託)は、保有するだけで信託報酬という手数料がかかる。二つのコストを合わせ、ラップ口座が一般的に年2.5~3%程度なのに対し、ロボアドバイザー投資は1.3%程度で済みます」

 運用成績に直結するコストは、低いほうが有利だ。1%違えば、100万円の運用で年1万円の差が出る。

 数百万円の資金がいるラップ口座に対し、ロボアドバイザー投資は一般の人や資金の少ない若年層に向いている。1万円程度から運用できたり、月収の一部から積み立てて投資できたりするサービスもある。

 質問への回答で診断されるのは、その人のリスク許容度。投資はリスクとリターンが背中合わせだ。大きな利益をねらえば、大きな損失を被る恐れがある。損失を小さくしたければ、利益もほどほどになる。ロボットは回答を分析し、その人のリスク許容度に応じたポートフォリオを組む。

 ポートフォリオとは、投資資産の組み合わせや割合。反対の値動きをする株と債券をベースに、日本、先進国、新興国で分けるのが基本だ。株の割合が高いほどハイリスク・ハイリターンに、債券が増えるほど値動きは穏やかになる。独自の値動きをする金などの商品や不動産も加えると、変動幅はより安定する。

 前出のカン氏はロボアドバイザーの提案する分散投資についてこう説明する。

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