「医療相談なので診療行為はしませんが、病院に行くべきかどうかの見極めや、応急処置の方法などを相談できます。医師の実名や病院名がわかるので、相談者は安心です。利用者からは、病院に行くかどうか迷うときの判断に役立つ、医師の説明がわかりやすかった、などの声があります。相談を受ける医師からも『対面で話すわけではないので、より丁寧な聞き取りや説明を心がけるようになった』との感想を聞きました」

──ご自身も、循環器内科医なのに、2004年に起業したのはなぜですか。

「福島県の病院で、帝王切開した妊婦が亡くなる事件などがあり、医療不信の風が吹き荒れていたときでした。夜勤の日は深夜まで患者さんを診察し、オンコール(緊急対応のため待機する状態)の日は、土日も関係なく呼び出される。患者さんのために頑張る医師を、医師の一人として何かサポートできないかと思ったのが、きっかけです」

──今後、どんなサービスを展開していきますか。

「登録している医師同士、さらには医師と患者さんを結ぶことができれば、新しい医療のしくみを作れる可能性があります。例えば、first callのメインは医療相談サービスですが、診療という形も予定しており、在宅医療への応用などに展開できるでしょう。健康保険の枠組みをどうするかなど、ルールづくりは必要ですが、一つずつ乗り越えたいですね」

週刊朝日 2016年9月2日号