SEALDsの解散会見に臨んだ奥田愛基さん(前列左から3人目)ら=8月16日 (c)朝日新聞社
SEALDsの解散会見に臨んだ奥田愛基さん(前列左から3人目)ら=8月16日 (c)朝日新聞社

 終戦記念日の8月15日に解散した学生グループ「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動)。翌16日に記者会見を開き、中心メンバーの奥田愛基さんは昨年5月の結成から1年余りの活動をこう振り返った。

「この社会がどうなっているんだという問いかけに対し、逃げずに何ができるのか。できることはやってきたつもりです」

 ラップ調のかけ声で国会前デモをするなど、従来とは違う形で市民の支持を集めた。安保法制反対などで共闘した学者たちが“惜別”のエールを送る。

 立憲デモクラシーの会共同代表の山口二郎・法政大教授はこう話す。

「とにかく、ありがとうと言いたい。私は政治学者として民主主義や平和を口にしてきたが、『本当にそれを信じているのか。信じているのなら、ちゃんと行動に移そうよ』と問いかけられた思いがした。彼らの率直な言葉が心地よく響いた」

 哲学者の西谷修・立教大大学院特任教授は、SEALDsの源泉には東日本大震災があったと見る。

「彼らはボランティア活動などを通じ、被災者が“当たり前の生活”を取り戻せずにいることを知る。一方、自分たち学生は、ブラック企業や派遣労働が蔓延し、就職の展望も見えない。そこへ黒を白と言い募る安保法制が出てきた。何を信じていいかわからない感覚で、『国民をなめんな!』と声をあげる場を国会前に切り拓いた」

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