奇跡は簡単には起きない…(※イメージ)
奇跡は簡単には起きない…(※イメージ)

 日本のラガーメンが世界を驚かせた。リオ五輪で初採用されたラグビー7人制の男子が、1次リーグでニュージーランドに歴史的勝利。続く、決勝トーナメントの初戦でも強豪フランスに逆転勝ちし、ベスト4進出を決めた。

 しかし、サクラセブンズこと女子は、金メダルを目標にこの5年間で約1100日を合宿にあてるなど強化を図ってきたが、12チーム中10位と振るわず。

「奇跡は簡単には起きないってことですね。急には強くならないし、ある意味で実力通りの結果。フィジカルもスピードも世界との差を感じました。時間はかかっても、世界で勝つには、一歩ずつ強くなっていくしかないんだと思います」

 昨年の春から、勤務していた広告会社の電通東日本を休職し、競技に集中してきた主将の中村知春(アルカス谷)はしみじみとそう振り返った。

 当初はバックアップメンバーだったものの、負傷者が出たことで唯一、勝利した第4戦のケニア戦に途中出場した竹内亜弥(アルカス熊谷)は、京都大学を卒業した選手として1968年メキシコ五輪馬術の荒木雄豪さん以来、女子では初めての五輪出場を果たした。

「自分としてはそのことに何の感慨もなかったんですけど、周りの人が喜んでくれたのはうれしい」

 出版社の新潮社を休職して、夢の舞台を目指してきた竹内。リオ五輪が開幕した5日には30歳の誕生日を迎え、今後については「会社と相談しながら、ゆっくり考えたいなと思っています」と語るにとどまったが、五輪が一つの区切りとなる可能性は高い。(本誌・小泉耕平、鳴澤 大/栗原正夫、渡辺勘郎)

週刊朝日 2016年8月26日号