北原みのり「鳥越さんに『赤入れ』したい」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「鳥越さんに『赤入れ』したい」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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「鳥越さんに『赤入れ』したい」(※イメージ
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「鳥越さんに『赤入れ』したい」(※イメージ )

 それにしても「事実無根」とは、強い言葉だ。これが意味するのは、女性が嘘をついている、ということだけだから。実際、鳥越さんの弁護人は、以下のような抗議文を週刊新潮に送った。

「そもそも、痴漢えん罪事件が絶えないのは、被害者とされる女性の供述のみに基づいて起訴されることにある」

 今回の記事も女の言い分だけなので痴漢えん罪と同類、という言い分だ。こうなると、たとえ記事に問題があっても、この抗議文に赤ペン入れたくなる。痴漢えん罪事件が絶えない原因を、女の嘘や勘違いに求める感覚、何周遅れよ。政策に「男女平等」入ってますよね?

 また、SNSなどでは、鳥越さんに対する以上に、“被害者”批判が目立ったことにも驚いた。大人の女がキスくらいで騒ぐな、自分の意思でついていったんだろうというセカンドセクハラから、政治に女性問題持ち込むな、というセクハラ軽視など、基本は「大きな闘いの前に、セクハラはたいしたことない」という考えだ。

 日本社会って、つくづく女性差別は構造化され、男性の性欲は制度化されている。そういう中で性差別を理解するのは、とんでもなく難しいことなのかもしれない。

 差別込みの日常を、私たちは生きている。その差別は日々アップデートされ、放置されている。自分をリベラルだと思っている男性ほど、差別を突きつけられると動揺するのも、よく分かる。私だって、自分の気がつかない差別を指摘されたら、動揺する。でも、分からないって所からはじめてよ、としか言いようがない。「これは差別だよ」と差別される側が説明し続けるのは、とてもしんどい。

週刊朝日  2016年8月12日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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