友人の懸念どおり、水泳の授業で入れ墨を隠すのに腐心し、スイムスーツを着て全身を隠した。子どもと触れ合えたことはうれしかったらしく、ミクシィにはこんな書き込みがつづく。

〈心がポカポカになるエピソードがいっぱいあります〉〈(お別れ会で)手紙やプレゼントをもらい とても満足してます〉

 だが、思いと行動は一致していない。ミクシィにはこんな書き込みもある。

〈教員免許採用試験の受け付けがとっくのとうに終わっていたので今年教師になれる可能性は0になりました〉

「試験の申し込みを忘れて受験できなかった。でも『さあ就活だ』とケロリとしたものでした」(大学時代の友人)

 行き当たりばったりの生活に大麻や薬物が加わる。ある友人はこう話す。

「入れ墨を入れると痛いじゃないですか。それを緩和させるために大麻を始めたようです」

 こう証言する友人もいる。

「好きだったのは脱法ハーブ(危険ドラッグ)。いろんなのを試しては『これはキマるな』『こっちはハイになれる』とか解説していました。印象に残っているのは、相模原のクラブ。ハーブ吸って、ハイになって、脱ぎ始めて。ビール片手にテーブルから大勢のお客のいるところにダイブ。お客の服がびしょ濡れになってブーイングでしたが、本人は全く意に介さなかった。その後、脱法ハーブが規制されてみんなが避けるようになっても、バレないからって続けていました」

 自分で大麻を栽培しようとしていたという話もある。「さと(植松容疑者)のところは田舎だから、バレないだろうと。家の前の道が行き止まりだから人通りもない。栽培にはぴったりと笑っていた。でもうまく栽培できず、どうすればできるか聞かれました」(友人の一人)

 12年3月、大学を卒業。清涼飲料水を扱う運送会社に入社したが、数カ月で退職する。その後に採用試験を受けたのが、やまゆり園を運営する社会福祉法人「かながわ共同会」だった。

次のページ