田原総一朗「天皇の『生前退位』を阻みかねない自民党改憲草案」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「天皇の『生前退位』を阻みかねない自民党改憲草案」

連載「ギロン堂」

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現状の自民党改憲草案では難しい…(※イメージ)

現状の自民党改憲草案では難しい…(※イメージ)

 実は、天皇の生前退位が認められなくなったのは、1889(明治22)年に大日本帝国憲法と時を同じくして制定された旧皇室典範によってなのである。大日本帝国憲法は、西洋列強に対抗するために、天皇に権力を集中させた強力な君主制を敷くことを目的としており、現在の象徴制とはまったく異なっている。

 自民党の右派の人々は、どちらかというと生前退位を認めたがらない。生前退位が認められると、たとえば天皇の考え方や姿勢が首相など時の権力者の意に沿わない場合に「譲位」を強要する危険性があるというのである。だが、こうした主張をする人々は現在の象徴制には反対で、天皇を元首にするべきだと求めている。そして、たとえば現憲法の第7条では、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」として「憲法改正」以下の10項目を挙げているのだが、自民党の改憲草案では「内閣の助言と承認により」を削除してしまっている。つまり天皇の政治的権能を高めようとしているのだ。

 こうした権能の強化を行わず現在の象徴制を維持するのであれば、皇室典範に「高齢で公務に支障をきたした場合」などの条件を定めて退位を認めることに問題はないのではないか。

週刊朝日  2016年8月5日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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