「同窓会の余韻をもっと楽しみたくなったので、2次会にも参加しました。隣に座ったのは、別のクラスの男性で、ほぼ初対面。でも同窓生という気安さもあって、話が弾みました」

 男性から携帯番号を聞かれても、応じなかった。2年後に、同窓会で再会すると、積極的にアプローチされる。そして3次会は二人だけで朝まで飲んで語り合った。仕事や家庭の相談に乗ってくれる同窓生が、頼もしく見えた。また長い間セックスレスだった瑞恵さんは「女としてこのまま終わるのではないか」という恐れもあり、好意的な同窓生に、次第に魅かれた。

 同窓会で再会してから不倫に発展する男女の共通点は、出会いのシチュエーションが似ていること。昔から知っている同窓生か、あるいは話すのは初めてだが、かつて同じ場所と空間を共有したという理由で、思い出に一緒に浸っているうちに、いつの間にか打ち解けてしまう。今の様子を語り合い、相談に乗ったり乗られたりしているうちに、配偶者にない魅力を感じていく。さらに価値観が同じだとわかると恋愛関係になる。その流れが、実にスピーディーだ。

 また「自分はまだイケているのだろうか」と年齢を重ねていく不安も手伝って、同窓会不倫にのめり込んでしまう。前出の瑞恵さんも、子育てが一段落した時期に、女としての時間を取り戻したいという焦りから、どっぷりと浸ってしまった。

 瑞恵さんは3年間こっそりと不倫関係を続けていた。ところが、ふとしたことから大学受験を控えた娘にばれてしまう。不倫を解消し、やっと娘との関係が修復する。ところが大学進学を機に娘が家を出ると、浮気を繰り返す夫との日常が続く。寂しさと空しさに耐えきれず、とうとう50歳を目前に、再び同窓生と関係を復活させてしまった。現在、夫との離婚を考えている。

「離婚したら同窓生との関係も終わるのだろうか」

 瑞恵さんは同窓会不倫の行方を決めかねている。(作家・夏目かをる)

週刊朝日  2016年7月29日号より抜粋