「この間、奈良の東大寺で絵本のトークライブがあったときに、東大寺を参拝したんです。雨の日であんまり観光客がいない中、遠足かなにかの子供たちが、私を見つけて、『あ、ドリーだ!』って集まってきてくれて。お化粧もしてないのに(笑)。『そうか、子供たちの中で、私はドリーなんだ』って思って、ありがたかったです。女優の仕事って、地味な作業の積み重ねだし、一つの仕事を長く続けていると、本当に山あり谷あり。もうダメかなって思うこともあれば、全然ダメじゃない、まだまだ変われるな、と思うときもある」

 様々な活動に取り組みながら、“何をするときも新しい気持ちで取り組むことが大事”だと、常日頃から、室井さんは考えている。

「魚って、成長ホルモンが死ぬまで働く生き物なんですって。だから、ダイオウイカみたいに巨大化するものが現れる。人間の場合、『年だから』とか『もう成長しないんだ』とか思いがちだけど、私はそういう考え方は好きじゃない。ドリーって、何でもすぐ忘れちゃう。でもだからこそ、『自分はこうだ』っていう決めつけがないんです。マイナスなことは引きずらないのが共通点なのかも(笑)」

週刊朝日  2016年7月29日号