動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、青森・弘前の「ねぷた猫」です。

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 青森の若いねぷた絵師のご夫妻に、子どものように「猫かわいがり」されているトラジは、好奇心旺盛な男の子。窓に鳥の影が映れば窓枠に飛び乗り、網戸に虫がとまれば近寄って観察し、あちらこちらによく動く。
 
とその時、絵師が筆を手に作業を始めた。途端に「借りてきた猫」のよう、おとなしく座る。絵の上に乗るも、絶対にツメを出したりしない。ご主人の仕事に対する真摯な気持ちを感じているのだろうか。思い、思い合う人と猫の関係が伝わってくる、そんな職人の家の猫です。

岩合光昭(いわごう・みつあき)
1950年生まれ。動物写真家。NHK BSプレミアムにて「岩合光昭の世界ネコ歩き」放送中。

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週刊朝日 2016年7月29日号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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