新党改革の比例区候補として戦った山田太郎氏(左) (c)朝日新聞社
新党改革の比例区候補として戦った山田太郎氏(左) (c)朝日新聞社

「『天皇陛下に手紙を渡した人でしょ? けしからん』とよく間違えられます」

 そう語るのは、7月10日の参院選で29万票を集めた山田太郎氏(49)。同じ参院議員の山本太郎氏とよく混同されるという。野党の比例区候補で最多得票だったが、所属する新党改革が議席をとれず落選した。

 得票を支えたとみられるのがオタク。記者が秋葉原で出会った20代の男性オタクは「同人誌仲間ではよく知られています。参院選でも投票しました。彼は僕たちの英雄です(笑)」。

 山田議員は同人誌や漫画などの表現の規制と闘い、オタクの期待に応えてきた。

 2015年3月の参院予算委員会。「(TPPの)著作権の非親告罪化で、同人誌マーケットや同人文化は打撃を受けると言われる。どうお考えか」と質問した。当時の宮沢洋一経産相は「全面的に著作権侵害が非親告罪化されると、コミックマーケット等の参加者に影響なしとは言えない」と答弁。こうした活動がオタクに支持された。

 なぜ表現の規制の問題に取り組み始めたのか。

 山田氏は「4年ほど前、中学生だった娘がコスプレにはまったのがきっかけ」という。「家がコミケ会場に行きやすく、コスプレ仲間の準備場所でした。彼らの不安感に接するようになった」とも話す。自らも中学生のころから鉄道に乗るのが好きな「乗り鉄」で、オタクに理解があったようだ。

 今後は「若者の楽しむ世界を政治的な圧力などから守る活動をしたい」という。(本誌・松岡かすみ、太田サトル、鳴澤大、亀井洋志、吉崎洋夫/黒田朔)

週刊朝日 2016年7月29日号