後出しジャンケンの鳥越俊太郎「女性スキャンダル?」「政策なし?」
後出しジャンケンの鳥越俊太郎「女性スキャンダル?」「政策なし?」

“究極の後出しジャンケン”が功を奏したのか。告示日前後の世論調査では、野党4 党が推す鳥越俊太郎氏(76)が与党推薦の増田寛也氏(64)、自民党に反旗を翻した小池百合子氏(64)を一歩リードしているという。

  7月14日にJR新宿駅前で行われた第一声の演説では、鳥越氏は千人規模の聴衆を前に「初めて、都民の声に耳を傾ける知事が出てきます」と上機嫌。選挙カーでは海江田万里・旧民主党前代表がマイクを握り“ウグイス嬢”役を務めるなど、鳥越氏の大物ぶりを演出した。早くも余裕のムードが漂うが、民進党関係者は不安を語る。

「鳥越氏はハンサムなだけに過去の女性関係について色々と噂があり、週刊誌が血眼になってスキャンダルを探している。これが炸裂すれば、情勢が一気に不利になりかねない」

 12日の出馬会見で自身の弱点について問われ、「好奇心が旺盛な分、移り気なところ」と冗談めかして答えた鳥越氏。「移り気」が命とりとならないか、関係者は気をもんでいる。

 鳥越氏の女性問題を知る立場にある関係者を直撃すると、こう話した。

「相手女性が公表を望んでいないのでお話はできない」

 一方、それ以外にも不安要素が聞こえてくる。

「ここまで街頭演説は一日1、2回のみで、他の候補と比べても明らかに少ない。健康への配慮という面もあるが、ドタバタ出馬で準備不足は否めず、『しゃべればボロが出る』という不安が選対内にある」(前出の民進党関係者)

 参院選で一定の威力を発揮した「野党4党+市民」という共闘の構図が今回も維持できるかも不透明だ。告示日前日の13日には、野党統一候補を目指していた宇都宮健児氏が出馬を取りやめ、分裂選挙が回避された。宇都宮氏は「鳥越氏と2度会い、私たちの政策も参考にしていくと聞いた。大局的な見地から出馬を取りやめた」と語ったが、選対ではチラシ約50万枚を刷り終えて翌日からの闘いに備えていたといい、事務所は意気消沈ムード。支持者の一部には、不満が残ったようだ。ある宇都宮選対スタッフはこう語る。

「鳥越氏で野党が一本化されたものの、民進党は都議会では保守陣営で、共産党や生活者ネットとはかなり立場が異なる。宇都宮氏の政策を参考にすると口では言うが、実現は難しいでしょう。鳥越選対は政党色が強くなり、我々市民運動をしている側から見ても距離を感じる。鳥越氏の応援に行く気はありません」

 宇都宮氏は前回の都知事選で約98万票を獲得し、次点につけた。この票の何割かが他陣営に流れる展開になれば、鳥越氏にとっては誤算。まだまだ勝負の行方はわからない。(本誌・小泉耕平、上田耕司、牧野めぐみ/今西憲之)

週刊朝日  2016年7月29日号