冷感スプレーや入浴剤、熱を冷ますシートなどのグッズ(撮影/大野洋介)
冷感スプレーや入浴剤、熱を冷ますシートなどのグッズ(撮影/大野洋介)

 今年は猛暑の予想だが、早くも体のだるさを訴えたり、熱中症で倒れたりする人が続出中だ。そこで、すぐにできる夏バテ対策として、入浴法や睡眠の改善を考えたい。熱中症を防ぐには、こうした工夫とともに体力をつけることも大切。自分に合う対策を見つけよう。

「電車やオフィスは冷えているのに、一歩外に出ると蒸し暑い。その温度差が夏の不調の要因になります」

 そう話すのは、ライオンのヘルスケアマイスターで睡眠改善インストラクターの山岸理恵子さん。

 激しい温度差で自律神経機能が低下すると、体温調節がうまくいかず、血行障害になって夏バテに陥りやすい。寝つきも悪くなり、疲れやすい。こうした不調の対策に、山岸さんは入浴法の見直しを勧めている。

「面倒だからと、毎日シャワーで済ませていませんか? お風呂は温熱効果のほかに、水圧や浮力などによる健康効果もあります。夏こそ湯船につかってください」

 入浴は体温を上げ下げするが、その作用で体調を整え、快眠を導ける。温度差からくる不調を、体温差で解決しようというわけだ。

 温熱の効果は「ぬるめ」「熱め」で変わる。38~40度のぬるめの湯に、10~15分ほど入ると、副交感神経が優位になり、心身を鎮静させる効果がある。41~42度の熱めの湯に5分ほど入れば、交感神経が刺激されて気分がシャキッとする。入浴後に眠りたいなら、就寝の1~2時間前にぬるめの湯にゆっくり入るのがお勧めだ。

「人間の身体は深部体温がいったん上がって再び下がるときに眠りにつきやすくなります。そのタイミングを見計らって布団に入るとよい。寝る直前に入浴し、まだほてっている間に横になっても、寝苦しいだけです」(山岸さん)

 水圧の効果は湯船の水位で調節する。首までつかると水圧で心臓の動きが活発になり、全身の血行がよくなる。足のむくみや疲れの改善に効果的だという。

 心臓から出た血液が再び心臓に戻るまで1分弱かかるとされる。5分間湯船につかれば、血液が5回全身を巡る計算だ。冷房で冷えた体を、「素早く」温められる。ただし、心臓が弱かったり、血圧に不安があったりする人は、全身浴は負担が大きい可能性がある。胸に負担がかからない「半身浴」がよいという。

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