“空気”で集金?(※イメージ)
“空気”で集金?(※イメージ)

 AKB48が、いよいよ“空気”で集金を始めた。

 6月18日にサービスを開始した、秋元康プロデュースのスマホ用オンラインゲーム「神の手」。ゲーセンなどでおなじみのクレーンゲームを、スマホ内のバーチャルな空間で楽しめるゲームだが、ここでしか手に入らない「神景品」がある。

 AKBの空気の缶詰「場空缶(ばくうかん)」。同日に開催された「AKB選抜総選挙」ステージの“場の空気”を詰め込んだ缶だ。メンバー計272人分の3万缶が用意され、実際に手元に届く缶のラベルにはメンバーの総選挙ポスターの画像が貼られ、10缶に一つは本人直筆メッセージ入りという。

 目当ての景品を獲得するには、まずこのクレーンゲームに成功しなければならず、プレー代1回100円で獲得できるとは限らない。さらに、目当てのメンバーの缶の上に他のメンバーの缶がのっていると、ゲットするのに一苦労することも。空気を得るためにはそれなりの覚悟が必要だ。

 48グループのファンに聞いてみたところ、

「スマホゲームで得られるアイテムとして現物が手にできるというのは、たとえ空気でも良心的かもしれませんよ」

 と言う一方、

「何もないところからお金を生み出す秋元センセイの錬金術もここまできたかという気もします。だけど、推しメン(好きなメンバー)が吹き込んだ息だったりしたら、ゲームに臨むかもしれませんね」

 と、まさに惚れた弱みか。

 ゲームを配信するブランジスタゲームでは、

「会場の緊張感ある空気を詰めるという、秋元さんのユーモアあふれる景品だと思います。そこに価値を見いだしていただければ。残り本数もわずかです」

 と、好調さを語る。

 アイドル誌記者は言う。

「これまでもハワイの空気缶とかありますから、商品そのものは珍しくはない。ある意味では一緒の空気を吸えるという夢を詰め込んだ、究極のアイテムなのではないでしょうか」

 空気ではなく、泡沫(うたかた)の夢の詰まった缶ということか。(本誌・鳴澤 大、太田サトル、山内リカ、秦 正理、吉﨑洋夫/岸本貞司、韓国在住ジャーナリスト・菅野朋子)

週刊朝日 2016年7月22日号