iPS細胞のハゲ治療は何年後?(※イメージ)
iPS細胞のハゲ治療は何年後?(※イメージ)

 前頭部や頭頂部の髪が薄くなるのが特徴で、20代から発症する例もあるという男性型脱毛症「AGA」。いわゆる“若ハゲ”のことを意味するが、そんな症状とは無縁で髪の毛なふさふさ本誌記者(33)が、薄毛に悩む先輩記者のために、50歳を過ぎてもハゲない方法を探るべく立ち上がった。

 訪ねたのは、毛髪研究の第一人者である大阪大学大学院医学系研究科の板見智教授(皮膚科)。まず、わかったのは、「AGA」が「男性ホルモン」が実行因子として作用するため遺伝の要素が強いこと。だからといって、先祖に薄毛の人がいなくても、先祖のさまざまな遺伝子が組み合わさって「多因子」がそろえば、ハゲる可能性はあるという。つまり、木村拓哉もディーン・フジオカも岩田剛典もハゲない保証はないのだ。

 スターと肩を並べたことで、ようやく当事者意識が出てきた。では、もし症状が始まったら、防ぐ手立てはないのか。

「ゴールデンスタンダードとされる治療法を試してみるしかないですね」

 おおっ、ゴールデンスタンダード! いい響きだ。

 板見教授が「確実性が高い」として推奨するのは、薬物療法と外科的治療だという。このうち薬物療法には、内服薬と外用薬の2種類があるそうだ。

 まず、代表的な内服薬は「フィナステリド」。髪の毛が年々薄くなっていくのを止め、「現状」を維持できるという。

「現状維持という意味では、9割以上の人に効果があります」

 AGAには、前述のように男性ホルモンが関係する。もう少し詳しく説明しよう。毛乳頭細胞に男性ホルモンが入ると、細胞内の還元酵素によって男性ホルモンが違う性質に変化し、脱毛作用を起こす。

 2005年に登場したフィナステリドはその酵素の作用を妨げる、つまり「男性ホルモンを変身させないぞ!」という気概と威力を持った薬だそうだ。

「男性ホルモンによる脱毛作用を止めることによって、髪の毛が伸びるスピードが正常に戻るんです。とんでもなく髪の毛が生えてくるという人は1割ほど。ある程度見た目が回復する人が半分くらいはいます。写真で見ると明らかに違うから、かなりの人の満足度が上がっているでしょう」

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