「そもそも創価学会の初代会長の牧口常三郎先生は戦時中の国家権力の宗教弾圧によって獄死しているんですよ。なんで今、創価学会は、公明党は、安倍さんとグルになって好き勝手やってるんでしょうか」

 異変を警戒してか、公明党の山口那津男代表は選挙戦終盤で「いま直ちに憲法9条を改正する必要はない」と強調し始めた。10日深夜の会見でも、

「どの項目を、どの程度(改憲するのか)などの具体的な話は、党内でもまだ議論ができていない」

 と自民党を牽制(けんせい)。“改憲勢力”と距離を置くアピールを続けている。だが、公明党関係者はこう話す。

「たしかに、憲法改正で党をまとめるのは簡単ではない。でも、安倍さんが本気で勝負をかけてきたら、公明党がそれを止められるとは誰も思っていない」

 公明党副委員長を務めた元衆院議員の二見伸明氏は、こう語る。

「創価学会員の一部は、参院選で公然と野党を応援していたが、これは今までになかったこと。今後、公明党は連立政権を離れ、純粋な宗教政党になるべきです。そういう声は、創価学会の中からも出てくるでしょう」

 参院選で改憲3分の2を達成したことで、かえって公明・創価学会のクビを絞めることになった。前のめり気味の安倍首相に、創価学会員はどこまでついていけるのか。それによって日本国憲法の行方が決まる。

週刊朝日 2016年7月22日号より抜粋