自民党内で取りざたされている改憲スケジュールは次のようなものだ。100項目に及ぶ自民党憲法草案のうち、改正項目を30~40項目に絞り込む。国民投票は設問に対する賛成、反対を問うスタイルだ。1回の発議で3~4問を国民投票にかけ、国民から反発を受けにくい条文は野党の協力も得ながら、その作業を5年間で4回ほど繰り返す。

 改正項目の候補には、環境権を含む新しい人権、次世代に借金を残さない財政規律の義務規定などが挙がる。その中でいま最有力候補として挙がっているのが、災害や有事の際に政府に強力な権限を与える「緊急事態条項」だ。緊急事態条項は、制限付きではあっても政府に強大な権限を与えることから、独裁的な政治体制につながるとの批判もある。一方で、東日本大震災の経験から、自民党内では「国民の理解を得やすい」との容認論が主流だ。

 そこで、こんな驚きのプランが浮上している。自民党関係者は言う。

「憲法改正で国民投票となれば反対派が強い。だから、安倍さんは国民投票と総選挙を同日にやる『ダブル投票』を狙うだろう。ダブルにすれば、自民党の組織の動員力が働く。賛成票が増えることは確実です」

 18年の国民投票と、衆院解散・総選挙──。だが、一見説得力のありそうなこのシナリオには、大きな障壁もある。今回、5議席増の躍進を遂げた公明党だ。

 公明党は安倍政権と蜜月関係を年々深めているが、支持母体である創価学会内部では異変が起きている。

 昨年8月には、創価大学の教員や学生、OBらが「安全保障関連法に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会」を設立。ホームページで安保法制に反対する署名活動を行い、大きな話題となった。

 同会のメンバーの一部は、参院選でも安倍政権を批判。今月2日には、4代続く信徒だという竹原弘樹さんが、東京選挙区から出馬した三宅洋平氏の街頭演説に参加し、こうスピーチした。

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