大人のアトピー性皮膚炎の治療法とは(※イメージ)
大人のアトピー性皮膚炎の治療法とは(※イメージ)

 子どもだけでなく、成人になってから悪化することも多いアトピー性皮膚炎。約45万6000人(2014年厚生労働省患者調査)の患者がいると推定されている。今年2月には7年ぶりに日本皮膚科学会の診療ガイドラインが改訂され、ステロイド外用薬を用いた新たな治療法が広まっている。

 アトピー性皮膚炎は、皮膚にかゆみをともなう特徴的な湿疹があらわれ、よくなったり(寛解)悪くなったり(再燃)を繰り返す慢性疾患だ。推計患者数は約46万人。ほとんどは乳幼児期に発症し、いったんは治まるものの、成人してから再燃を起こすことも多い。

 アトピー性皮膚炎の原因はまだ詳しくわかっていないが、なんらかの理由で皮膚を守るバリア機能が低下し、少しの刺激でも炎症を起こしてしまう。炎症が起きた部分はさらにバリア機能が低下し、ますます刺激に敏感に反応するという悪循環に陥る。強いかゆみのため掻いてしまい、さらなる悪化をまねくことも多い。

 アトピー性皮膚炎の治療は、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの薬で炎症を抑える、保湿剤で皮膚の乾燥を防ぐ、皮膚に刺激を与えるアレルゲン(抗原)を除去する、の三つが中心になる。

 大阪府在住の会社員の国枝幹夫さん(仮名・50歳)は2歳のころにアトピー性皮膚炎を発症。23歳のころに再燃し、悪化したときにステロイド外用薬を使う治療を続けていた。しかし、40歳を過ぎたころから、さらに皮膚炎が広がってしまった。大阪への転勤をきっかけに、アトピー性皮膚炎を多く手がける大阪大学病院を受診した。

 国枝さんの湿疹は重症で、一部分が「びらん」というただれた状態になっていた。診察した同院皮膚科の室田浩之医師の勧めで、国枝さんは入院することになった。薬の投与方法を見直し、保湿剤と、ステロイドを中心とした抗炎症外用薬の塗布を1日2回、毎日おこなった。湿疹は軽度になり、2週間後には退院した。その後もよい状態を維持するために、抗炎症外用薬を回数を減らしながら使い続けた。

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