これまで数々の大舞台に立ってきたプロゴルファーの丸山茂樹氏。しかし、そんな丸山氏に「眠れなくて大変」だった大会が最近あったという。

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 先日、キャロウェイゴルフさんとアンバサダー契約を結び、発表させてもらいました。

 世界的なブランドであるキャロウェイさんにサポートしてもらえるのは大きいですし、自分も役立てることがあればと思います。「こういうフィーリングのクラブがあれば」と意見を出し、僕自身の経験から伝えられることもたくさんあると考えてます。

 僕の今シーズンのツアー初戦になった「長嶋茂雄招待セガサミーカップゴルフトーナメント」(6月30日~7月3日、北海道・ザ・ノースカントリーGC)からキャロウェイ製品を使わせてもらいました。締め切りの関係で、結果は来週号でお知らせしますね。

 ひとつ、うれしいことがありました。アメリカで暮らしてる息子の奨王(ショーン・16)が、向こうで一番歴史のあるジュニアの大会で優勝したんです。「ウェスタンジュニア選手権」(6月21~23日、米ミシガン州ロイヤルオークのレッドランGC)。古くはフレッド・カプルス(56)、そしてタイガー・ウッズ(40)やフィル・ミケルソン(46)もジュニア時代に出た試合で、リッキー・ファウラー(27)が2005年に優勝してるんです。

 奨王は初日が終わってトップに2打差の9位。2日目に66で回ってトップに立ち、2位に3打差をつけて最終日を迎えたんです。

 最終日は2ラウンドしなくちゃいけないから、電話で話したときに「自分の目標をきっちり立てて、1アンダー、1アンダーで回ってくればいい。それで勝てなければ、それはもう仕方ないと思うよ」と伝えました。そしたら1アンダー、2アンダーで。2位に2打差をつけての優勝でした。

 この試合に出たくて出たくて、出る資格を得るためには目の前の試合で何位に入らないと、ってやってきました。まず出られたことが本当にうれしかったと思うんですよね。

 
 僕はもうゴルフを長く楽しんでくれたらと思ってるんで、絶対勝てなんて決して言わないんですけど、自分でそうやって一つひとつの目標に向かって頑張ってますから、その姿を見てると、僕もうれしいですよね。

 その直前の試合が大失敗だったんです。テスト勉強で練習ができなかったこともありまして。そこからミシガン州に移動して練習ラウンドをしたら、「体が気持ちよく動くようになってきた」って連絡があったから安心して。スイングの動画も送ってきましたけど、いい感じで振ってました。

 とくに興奮することもなく、いつもの冷静な感じで「優勝したよ」と連絡がありました。こっちは眠れなくて大変だったんですけどね。ハハハハ。この優勝は彼のこれからの自信になるし、モチベーションが上がったり、さらに高い目標ができたりというのがあるんで、すごくよかったと思います。

 もう完全なアメリカ人みたいなものなんで、胸を張って自分の意見もきちんと言えるし、どんな職業についても立派にやっていけるのかなと思いますけどね。プロゴルファーじゃなくても、ビジネスでも何でも。自分の意見を日本語と英語できちんとしゃべれれば、それで一つの道ができたのかなと思ってます。

週刊朝日 2016年7月15日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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