外国人役員報酬はまだ増える?(※イメージ)
外国人役員報酬はまだ増える?(※イメージ)

 東京商工リサーチが2016年3月期の役員報酬額上位のランキングをまとめた。歴代最高報酬額の64億7800万円を手にしたソフトバンクグループ元副社長のニケシュ・アローラ氏を筆頭に、上位10人のうち6人が外国人役員だった。

 日本人経営者上位の顔ぶれはどうだったか。日本人で最も高額だったのは、3位のアオイ電子創業者の大西通義前会長。11億6800万円のうち、基本報酬は6800万円で、残る11億円を退職慰労金が占める。

 ビジネス展開が国内中心の企業の場合、報酬が極端に高額となる傾向はあまり見られない。一方で、高額な退職慰労金が支払われる例が散見され、これまでも退任時の1年間だけ上位に入る経営者が多かった。

 退職慰労金の高い企業は、生え抜きの役員が多く、一般社員の延長で、報酬額を決める傾向が強いともいわれる。

 社員から役員になり、退任時に高額の退職金を受け取れば、社内で目標としやすいロールモデルになり、従業員の意欲を引き出すメリットが生まれる。一方で、報酬に差がつきにくい方式はデメリットもある。役員報酬に詳しいEY総研の藤島裕三主席研究員はこう指摘する。

「大きな失敗がなければ安定した報酬を長く得られるため、リスクを伴った攻めの経営判断をしにくくなる。そもそも業績連動が少なく、あっても担当部門の業績ではなく会社全体の業績に連動するなど、個々の役員の手腕や成果が反映されにくい」

 有名企業の日本人役員で上位になったのは、ソニーの平井一夫社長兼CEO。2期連続の赤字を脱して黒字回復を果たした。前年は28位の3億2600万円だったが、8位の7億9400万円に上がった。

 報酬の水準について、ソニーはこうコメントする。

「当社CEOの報酬水準は、国内企業のみならず、エレクトロニクスやエンタテインメント領域におけるグローバル経営者の報酬水準も勘案しながら検討されています」(広報・CSR部)

 1億円以上の報酬の役員が23人と最も多かったのは、三菱電機。開示人数は3年連続で最高だ。

 23人に支払われた報酬の総額は、28億7600万円だった。柵山正樹社長が2億円を超えたものの、残る22人は1億700万~1億3200万円で、ほぼ横並び状態。しかも官僚出身の1人を除いた全員が生え抜きのようで、入社年次も昭和50~60年ごろと近い。

 三菱電機は「開示対象となった役員全体の支給額28億7600万円のうち、約6割に相当する16億8700万円が業績連動報酬です。ここ数年は業績がよかったために開示人数が増えているだけで、業績連動部分が4億円程度の年もあります。また、担当部門業績に応じて最大20%の差をつけています」という。

 業績不振で経営から退いた役員への報酬支払いは、どうだったのか。

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