北原みのり「タイトルだけで泣いた」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「タイトルだけで泣いた」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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エロ漬け状態の社会…(※イメージ)

エロ漬け状態の社会…(※イメージ)

 AVのタイトルを読みながら、気がついたら泣いてた。もしかしたらもう、ずっと我慢してたのかもしれないと思いながら、慌てて外に出た。出口で同世代のスーツ姿の男性とすれ違った時、思わずその横顔を見つめた。フツーのお父さん、みたいに見えた。

 アダルトショップになど行かなくても、例えばフツーにネットを見ていても、エロは追いかけてくる。ネットニュースを読んでるだけで、目の端には「はぁはぁ」表現が入ってくる確率は高い。「弟がお年玉でお姉ちゃんを買いたいと言ってる」とかいう漫画などを、自分の意思に反してうっかり読まされることもある。コンビニでただ水を買うだけで、エロ雑誌は目の端に入ってくる。

 そう、ある世代だけがAV漬けというよりは、もう私たちの社会がエロ漬け状態だ。ならばと、見ないふりをし、感じない鈍い心で、このエロ漬け社会をサバイバルする道を選ぶ女もいるだろう。でも、そうやって生き続けるのは疲れるんだよ。疲れる。私は自分がAVのタイトルだけで泣いて初めてわかった。私たちは我慢している。男のエロのために、物凄い圧力をかけられ生きているのだ、と。

週刊朝日 2016年7月8日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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