「第三者」なんていない? 春風亭一之輔が飛行機トラブルで考えた (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「第三者」なんていない? 春風亭一之輔が飛行機トラブルで考えた

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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6月某日。某空港にて朝10時発の羽田行きの便に乗り込んだ…(※イメージ)

6月某日。某空港にて朝10時発の羽田行きの便に乗り込んだ…(※イメージ)

 3人くらいがハモる。窓の外では、係員さんが深々と頭を下げていた。当機に関わりない「第三者」っぽい皆さんに気を使わせてしまい、申し訳ない。

 結局、欠航となり、寄席は休むことになった。航空会社からお詫びに2千円の買い物券をもらう。なぜ2千円? 振り替え便の出発まで15分しかないのに、「空港内のみ利用可能です」。おいおい、ずいぶんせかすじゃないか。

 休演のお詫びにと関係各所へ慌ててお菓子を買い込んだら2800円也……足が出た。売店は私同様に買い物券を消費しようという客でごった返し。「第三者」の店員のお姉さんは、

「一列に並んでください!! 買い物券に領収書は出ませんっ!!」とキレ気味。

 翌日。寄席にお詫びに。

「不可抗力だから仕方ないよ」

 寄席のお席亭はそう言ってお菓子を受け取ってくださった。

 差し入れとして楽屋にもお菓子を持参すると、

「『○い恋人』か? んー、北海道土産としてはベタすぎやしないか?」

 まるで関係のない「第三者」の先輩芸人が、それを頬張りながらつぶやく。

 帰りの電車でボンヤリとツイッターを覗いていると、昨日寄席に来たお客さんのつぶやきにこんなものが……。

「一之輔は突然のお休みだったけど、代わりが◯◯師匠で逆にラッキー!!」

 無邪気に喜ぶ「第三者」の声にちょっとモヤモヤする私。いろんな「第三者」にめぐり合った2日間であった。

 よーく考えると、さまざまな場面において「完全なる第三者」っているんだろうか。ちょっとでも関わっちゃった時点で誰でも当事者なんじゃないか? ◯◯師匠ファンのあなたも、私につぶやき見られた時点で当事者なのよ。そうなのよ。フフ。

週刊朝日  2016年7月8日号


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春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『春風亭一之輔のおもしろ落語入門 おかわり!』(小学館)が絶賛発売中!

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