「全米オープン選手権」(6月16~19日、米ペンシルベニア州オークモントのオークモントCC)で、久しぶりに予選落ちという結果に終わった松山英樹(24)。丸山茂樹氏は、試合数をこなすことで好調が続くのではないかとアドバイスする。

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 いやあ、ようやくダスティンがメジャーをとりましたね。今シーズンの4大メジャー第2戦「全米オープン選手権」、32歳のダスティン・ジョンソン(米)が悲願のメジャー初優勝を果たしました。

 首位と4打差の2位で臨んだ最終ラウンド。5番グリーンでパットを打つ直前にボールが動いたんです。そのとき一度はペナルティーなしの裁定が下ったんですけど、12番まで進んだときに、ホールアウト後に1打罰の可能性があると知らされた。このとき彼は、2位に2打差の首位。動揺もあったはずなんですけど、2位に4打差をつけて勝ちきりました。結局1ペナになって、優勝スコアは通算4アンダーでした。

 1打差でなくてよかったですよね。主催のUSGA(米国ゴルフ協会)も胸をなで下ろしてるんじゃないですか? まあ微妙な判断ですよね。しかも5番の時点で1打罰を言い渡してたら、どうなってたか分かりませんから。

 これまでメジャーのトップ10に11回も入りながら、優勝に手が届かなかったダスティン。2010年の全米オープンでは2位に3打差の単独首位で最終日を迎えながら、82をたたいて8位。昨年の全米オープンは、トップに1打差で迎えた最終日の18番で、4メートルのイーグルチャンスからまさかの3パット。逆転どころかプレーオフにも持ち込めなかったんです。最終ラウンド終盤に「DJ」コールがわき起こったのも分かりますよね。

 これを機に、ダスティンはグッと躍進していくような気がします。ポテンシャルは4大メジャーを全部とれるだけのものがある。一番難しい全米オープンをとったんですからね。あれだけのロングヒッターだから、とくにマスターズはチャンスがあります。今回は精神面でも安定してましたし。楽しみですよ。

 
 宮里優作(36)が日本勢最高の通算7オーバーで23位に入りました。優作はショットでリズムをとっていくタイプだったんですけど、今回はパッティングが非常によかった。平均パット数が1.61で全体の6位でしたから。パットがいいから逆算方式じゃないですけど、気持ちよくやれたんじゃないですかね。

 あのゴルフがなんで日本でできないのか、という感じですけどね。全英オープンにも出ますけど、まずはこれを日本での試合につなげて、いい成績を残してもらいたいです。

 一方で松山英樹は、メジャーでは14年のマスターズ以来となる予選落ち。新たなスイングに挑戦してるって聞いてますし、それがうまくいかなかったのかな。僕は、試合の間隔を詰めた方がいいんじゃないかと思います。マスターズが終わってから1試合出て休んで、また1試合出て休んでってのが続きましたから。体に問題がなければ、もう少し詰めて出た方が、エンジンのかかりがよくなると思いますね。

 僕が日本代表のヘッドコーチを務めるリオデジャネイロ・オリンピックですが、7月11日現在の世界ランキングで代表選手が決まります。そこから意思確認をして、19日に発表することになりました。代表に決まった人がそのまま一緒にリオへ行ってくれると信じてます!

週刊朝日  2016年7月8日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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