怪しい「身元保証会社」とは?(※イメージ)
怪しい「身元保証会社」とは?(※イメージ)

 身寄りのない“おひとりさま”向けに、入院時などの身元保証を請け負う団体が増加中だ。しかし今春、全国に約2500人の会員がいた大手団体が破綻した。怪しげな団体の参入も多い。あとで泣き寝入りしないためにはどうすればいいのか。

「いざというときに頼れると思っていたのに、裏切られました。これから誰に身元保証をお願いすればいいのか……」

 東京都内の戸建てにひとりで暮らす野村宏子さん(仮名、77歳)は、途方に暮れる。頼れる親族のいない、いわゆる“おひとりさま”の野村さんは約5年前、入院時や老人ホーム入居時に身元保証人になってくれる契約を、公益財団法人「日本ライフ協会」(東京都港区、濱田健士代表=当時)と結んだ。払った費用は約156万円。

 しかし、この4月に協会が12億円の負債を抱えて破綻し、サービスが打ち切られてしまった。

「払い込んだお金はほとんど戻らないようです。まさかこんなことになるなんて、思ってもみませんでした」(野村さん)

 身元保証団体は、本人が医療費や老人ホーム入居費などを払えなくなった場合に費用を負担してくれるだけでなく、本人が急病で意思確認ができないときには代わって治療・介護方針を決め、死亡後の遺体や所持品の引き取りも担う。おひとりさまにとっては家族のように頼りになる存在だ。

 未婚や熟年離婚の増加、さらには親族がいても「迷惑をかけたくない」というニーズの高まりもあって、このような民間団体が増えている。一説によれば全国に100社以上あり、なかには数千人の会員がいる団体も存在する。日本ライフ協会もその大手一角を占めていた。

 ところが、同協会の濱田代表が、会員から払い込まれた費用を独断で関連法人に貸し付けるなど流用したほか、急速に事業を拡大して資金繰りが悪化。さらに公益法人を監督する内閣府のチェックも十分に機能していなかったため事態の発覚が遅れ、最終的に破綻に追い込まれた。

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