田原総一朗「iPS細胞と超高価薬が突きつける『生命の値段』問題」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「iPS細胞と超高価薬が突きつける『生命の値段』問題」

連載「ギロン堂」

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iPS細胞などの登場で倫理観や法規制を考える必要がある(※イメージ)

iPS細胞などの登場で倫理観や法規制を考える必要がある(※イメージ)

 京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞を発見してから10年が経過した。ジャーナリストの田原総一朗氏は、iPS細胞などの登場で倫理観や法規制を考える必要があるという。

*  *  *
 いま、世界中で「iPS細胞」をめぐって、覇権争いが激化している。

 京都大学の山中伸弥教授がマウスのiPS細胞の作製に成功したと発表したのは2006年のこと。その1年後にヒトのiPS細胞の作製に成功し、ノーベル賞を受賞した。

 人間の「命」は、たった1個の受精卵からはじまり、分裂を繰り返して、さまざまな細胞に変化して身体をつくっている。

 実は、こう書きながら、私は「iPS細胞」のどこがすごいのか、山中教授がなぜノーベル賞を受賞したのか、まるでわかっていなかった。そんな私にとって、「週刊ダイヤモンド」(6月11日号)の「世界を変えるiPS」は、ありがたい手引書となった。

「分裂して細胞の数が増えていくと、次第に細胞に変化が起きてくる。脳や心臓など、自分がいる場所で力を発揮できるように、細胞が専門化していく。しかし、細胞は専門化していくにつれて、他の種類の細胞になれる能力を失ってしまう。おまけに増殖する能力も下がっていく」

 専門化した細胞は、他の細胞になることはできない。それはあたり前で、心臓の細胞が脳や肝臓の細胞になることはないと考えていた。だが、山中教授のiPS細胞は、こうした長い間の常識をひっくり返した。

「たった四つの遺伝子を導入するだけで、専門化した細胞が『初期化』されて、さまざまな細胞になれる能力を取りもどすということがわかった」

 つまりiPS細胞は、体のどのような種類の細胞にもなれる「万能細胞」なのだという。しかも、無限に増殖できるということだ。

 そして、14年9月に、先端医療センター病院(神戸市)の栗本康夫眼科統括部長が、世界で初めてiPS細胞を使って、70代の女性患者に目の手術を行った。患者の細胞からつくったiPS細胞を用いて網膜色素上皮細胞という目の細胞をつくり、シート状にして移植したのだという。


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