ただ、島尻氏は今年5月、那覇市内での会見で、学童保育について「学校終わった後の、えーっと、何だっけ」とやらかした。2月の会見で、北方領土の「歯舞(はぼまい)」が読めなかった二の舞いを演じている。

 1月の宜野湾市長選では、自民が推す現職が、翁長派の新顔を大差で破った。反基地運動が膠着(こうちゃく)状態に陥るなか、再び怒りの炎を燃え上がらせたのが、元米兵による凶悪犯罪だった。

 琉球新報などの世論調査では、米軍関係者の事件事故の防止策として「全基地撤去」を選ぶ人が42.9%に。6月5日の沖縄県議選(定数48)では、翁長知事の与党勢力が3議席増の27議席に躍進。自民は1議席増の14議席だった。党県連会長も務める島尻氏は、「県民から一定の評価を得た」と強気だが、参院選への影響を考えると心中穏やかではないだろう。

 一方の革新系議員は引き締めに躍起だ。「現職の大臣だけに政府も相当テコ入れし、県経済界も動員を図る。楽観はできない」

 沖縄経済界の有力者の一人は「本土メディアは現在の沖縄の怒りの深さを、正確に捉えていない」と語る。その言葉に、参院選での沖縄県民の回答があるのかもしれない。

週刊朝日  2016年6月24日号