「右翼関係者の間では、ヘイトスピーチなどに嫌気がさして“マイルド右翼”が増えている傾向があった。対策法は、警察や司法の態度を変えさせ、ヘイトスピーチデモを行う人たちに対して、効果てきめんだった」(右翼問題に詳しい自民党関係者)

「今回の川崎市で起きたデモを巡り、司法や行政機関などの動きのよさは想像以上でした。歴史は進むときに一気に動くのだなと思いました」と語るのはヘイトスピーチ対策法の制定に関わってきた有田芳生参議院議員。

 一方で、対策法は具体的な禁止規定や罰則はなく、警察は対策法で直接取り締まることはできない。さらに、今回のデモは、県警が道路交通法に基づき道路の使用を許可したことで実現した経緯もある。

 有田氏はこう言う。「法律ができても意味がないという意見もあるが、たとえば、愛知や神奈川の知事がヘイトスピーチを実施する団体に施設を貸し出さないと表明し、川崎、東京、名古屋、京都、福岡などでも条例を作ろうとする動きがある。全国各地で条例づくりなどを地道に実現させていくことが、ヘイトスピーチ根絶に向けた今後の課題となるはずだ」

週刊朝日 2016年6月24日号