会見には、お維の馬場伸幸幹事長、下地幹郎政調会長らも同席。よどみない口調で語る田中氏の話を、神妙な面持ちで聞いているといった体である。田中氏の知人が語る。

「新党日本のころに国民新党と統一会派を組んでいたが、そのころから仲のいい下地氏に誘われたことも理由の一つ。それ以上に、夫人から『このまま終わっていいの?』と背中を押されて決心したようです」

 だが、いくら言葉を尽くしてみても、やはり違和感は残る。お維には、国会で「アホバカ」「ふざけるなよ、お前ら」など“暴言”議員が跋扈(ばっこ)しているからだ。田中氏と親交のある東京・世田谷区長の保坂展人氏が、困惑した様子で語る。

「田中さんが政界に復帰してくるのは歓迎で、大いに応援したいと思っていた。しかし、安倍首相とも親密なお維からと聞いて大変驚いている。これまでの田中さんの発想や政治行動とかけ離れていて、首を傾げてしまう。お維は、安倍政権を信任する立場だが、その点も同じなのでしょうか」

 一方、先の知人は田中氏の今後の動向をこう見る。

「田中さんはトリックスターですから、いろいろなことを言ってケムに巻くが、お維を自分のカラーに染めていこうと思っているはずです。会見までに、橋下徹氏(顧問)とさえ会っていない。霞が関の既得権益を撃つための孤塁となっていくのではないか」

週刊朝日 2016年6月24日号