ライバル社のエリート記者・小津(新井浩文)は、ゆり子と同じく、パン生地を一枚一枚剥ぐ。それこそが、正常な恋愛やセックスには飽きてしまったド変態の食べ方なんである!……って、誰よ、これ決めたの?だいたい日常、喫茶店でクロワッサン食ってる男なんて見たことないわ。

 しかし、恋のクロワッサン占いのおもむくままに生きる女、ゆり子。パン生地のごとく一枚一枚むかれて、妻子ある男と、エロの極みに落ちていく。もう、ゆり子ならぬ、あっちゃんの「脱ぐわよー(たいして脱いでない)」「ベッドシーンも体当たりよー(顔中心)」という意気込みがフル回転で、微笑ましい。

 仕事もがんばっているけど、多股でしか寂しさを埋められない、むいてもむいても中身のないクロワッサン女・ゆり子。外階段付きのボロアパートの風呂場や、ニトリで買ったようなベッドの上で繰り広げられるエロ場面。その昭和レトロのような物悲しさが、あっちゃんにはよく似合う。多股女優・前田敦子として、多方面に股を広げて頂きたい(あくまでも演技で)。

 ちなみに番組HPにあるクロワッサン占いやってみたら、私は「とにかく食べカスをボロボロこぼす無骨な職人肌タイプ」でした。股少なそう……。

週刊朝日  2016年6月17日号