資料には「政務」の文字が並ぶ。公用車を使っての外出が公務ではなく政務となっているケースが、実に175回にものぼった。

 東京都目黒区長選が告示された4月10日、舛添氏は公用車を使って候補者の応援に駆けつけていた。さらに2015年5月から16年3月には、政務として金沢市や福岡市、北九州市、都内で開いた講演で、公用車を利用して羽田空港や東京駅などへ移動していた。講演料は舛添氏の私企業で、雅美夫人が代表を務める「舛添政治経済研究所」に支払われたという。

「公務と称して舛添氏の私企業に講演料を振り込むというのは許されないことでしょう」(共産党都議)

 政務とは何か。ある都議はこう言う。

「『公務』に準ずるという意味で使っていると知事側は説明するが、曖昧な表現で、公用車を乗り回すための口実としか思えません」

 この都議によると、猪瀬直樹前知事までの時代は公用車使用の際は「公務」と表記していたが、舛添氏から「政務」という表記が登場したという。

 神戸学院大学法学部の上脇博之教授は指摘する。

「公用車を使用する理由に、『公務』と『政務』とに分ける必要がどこにあるのでしょうか。知事の仕事なら、すべて『公務』です。私的にタクシーやハイヤーがわりに使うのにごまかしていたとしか思えません。そういうところがしたたかですね」

週刊朝日  2016年6月17日号より抜粋