林:撮影現場にもいらっしゃったんですか。

玉木:はい。クランクインの前にもお食事を一緒にしました。最初は御手洗のキャラクターをつくるのに苦労しました。感情の起伏がない人なので、淡々とした感じを出すために余計な身ぶり手ぶりは一切排除したんです。それは実際の僕とはかけ離れているので、ちょっと窮屈でしたね。そのせいか、芝居をやり切った感がないんですよ(笑)。新次郎みたいな人だとあるんですが。

林:なるほど。でも作品になってみると、それがまた魅力的なんですよね。調和がとれているというか。

玉木:御手洗の場合は周りの人たちが彼に翻弄されることで、キャラクターが成立するんですね。作品のなかで自分の役がどう存在するべきか、それはいつも考えています。

林:私、脳科学者っていうと茂木健一郎さんしか思い浮かばないんですけど、茂木さんのことを頭の片隅に入れたり?

玉木:それはしませんでしたね(笑)。脳科学のことをインターネットで調べたりはしましたけど。自分が理解していないと、セリフにも説得力が出ませんから。

林:大学の講義の場面とか、すごく説得力がありましたよ。原作も読まれたり?

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原作を読んでみて…