ゆっくりとよく噛んで食べることも大切(※イメージ)
ゆっくりとよく噛んで食べることも大切(※イメージ)

 いったん発症したら、一生の付き合いとなる糖尿病。治療の柱は食事療法と運動療法だが、生活習慣の改善は患者のストレスにもなってしまう。

 糖尿病はインスリンという血糖値を下げるホルモンの作用や分泌量の低下により、血液中のブドウ糖(血糖)が増えすぎてしまう病気だ。ブドウ糖を多く含む血液が全身を流れると、血管や神経がダメージを受ける。腎臓の機能を悪化させる腎症や、視力が低下する網膜症といった重篤な合併症を引き起こすことも少なくない。

 生活習慣の悪化などによって発症する2型糖尿病の治療の柱は、食生活の見直しと適度な運動だ。それまでの生活習慣を改善し、血糖値を正常にコントロールすることができれば、飲み薬や注射などのわずらわしい治療は不要となる。

 東京都の会社員・浅岡達雄さん(仮名・46歳)は2010年に糖尿病と診断されたが、医師の指導で食後の運動などを取り入れ、血糖をうまくコントロールしている。

 浅岡さんはもともとBMI(体格指数)29という肥満体形。同年5月に受けた職場の健康診断で血糖値が異常に高く、東京慈恵会医科大学病院に短期入院することになった。

 6.5%以上で糖尿病と診断されるヘモグロビン(Hb)A1cの値は約12%。診察をした西村理明医師はまず、浅岡さんに血糖値の一日の推移を知ってもらうため、CGM(持続血糖モニター)機器の装着をすすめた。

 CGMは直径3~4センチほどの大きさで、小さな針が付いたセンサーを腹部の皮膚に刺して装着する。5分ごとの血糖値を最長6日間、連続して測定できる。

 浅岡さんは3日間CGMによる測定をおこない、西村医師からグラフ化した血糖値の推移を見せてもらった。朝・夕食の30分後に散歩をしたときは、食事によって上昇した血糖値がすぐに低下していた。

 一方、昼食後に昼寝をしたときは、高血糖が数時間も続いていたことがわかった。食後に運動することで食物の吸収が緩やかになり、また体内の糖も消費されるため、血糖上昇が抑えられたとみられる。

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