「駐屯地では、飲酒は食堂など定められた場所でしか許可されていない。前学校長ら幹部や大物OBは、図書室や理容店、応接室などで頻繁に酒宴を開いていた。ちょっと缶ビールとおつまみで、というレベルではありません。わざわざケータリング業者に仕出しまでさせていたのです」

 隊員の訓令で、駐屯地などでは防衛大臣の許可がない限り酒類を用いてはならないと明記されている。

 清谷氏が続ける。

「前校長たちの酒宴は違反行為です。女性隊員にお酌を強いていたのは、もはやセクハラ同然です」

 当時、総務部に在籍した隊員もこう証言する。

「飲酒の許可は得ていません。管理課長も心配して、動揺していました。看護師の一人は『いまの世の中、触れないのが残念だ。昔は触られて怒る女性隊員がいる一方で、触らないと怒る隊員もいたものだ』という発言を聞いたそうです」

 付属の高等看護学院(今年3月で閉校)では、教官によるパワハラが横行しており、入学時60人いた学生が卒業時に40人ほどまで減った年もあった。看護師になっても、プライバシーは侵害されるという。

「宿舎は、学生の時は4人部屋ですが、看護師になると1人部屋を与えられます。でも、看護師長が抜き打ちで気が向いた部屋を点検するのです。外出先から帰ってくると、部屋のドアノブに合鍵が刺さったままになっていたことがありました」(元看護師)

 陸上幕僚監部広報室は、前学校長らの無許可の酒宴についても、女性隊員に給仕させた事実もないと否定した。しかし、元看護師や総務部担当者は「無許可酒宴は事実です」と本誌に断言している。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日 2016年6月10日号より抜粋