約10メートル四方のスタジオに、20人余りのファンの姿。ライブが始まると、汗がほとばしるほどの近さで女性アイドルが熱唱し、ファンは一緒に踊る。記者とアイドルの視線も時々交わり、そのたびにドキッ。高揚した気分でライブが終わると、「物販を開始します。よろしくお願いします!」と大声が飛んだ。

 CD、Tシャツ、ブロマイド写真が売り場に並び、ファンが一斉に列をなす。何かを買えば、メンバーと握手。2千円以上買うと、好きな子とツーショットで記念撮影できるという。

 買った商品に当たり券があると、好きな子と1~3分話せる。時間になると、タイマーが「ピッピッピッ」。ファンの一人は「あこぎな商売ですよね」と苦笑しつつ、楽しんでいた。

 ファンとアイドルの関係強化に光をあてたAKB商法。一方で、2014年には握手会会場でメンバーがファンを装った男に襲われるなど、事件を生む影の側面もある。全国で5千~1万人とも言われる地下アイドルは今日もまた、光と影の狭間で生きている。

週刊朝日 2016年6月10日号