清原被告のように中高年増加中の“薬物依存” 最新治療とは? (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

清原被告のように中高年増加中の“薬物依存” 最新治療とは?

このエントリーをはてなブックマークに追加
なぜ再び薬物に手を出すのか。その理由は…(※イメージ)

なぜ再び薬物に手を出すのか。その理由は…(※イメージ)

 元プロ野球選手の清原和博被告、歌手のASKA氏に代表されるように、覚せい剤で検挙される中高年が増えている。再犯者も多い。そうした中、薬物依存の新しい治療プログラムが開発され、効果を上げている。

 警察庁の調査では、2015年の薬物事犯の検挙人員は1万3524人、そのうち約8割が覚せい剤事犯だ。特に覚せい剤は再犯者率が64.8%と高い。

 一度逮捕されたにもかかわらず、なぜ再び薬物に手を出すのか。国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦医師はこう話す。

「意志や性格の問題ではなく『薬物依存』という病気にかかっているからです」

 薬物依存とは薬物に対する強い欲求をコントロールできずに、使ってしまう状態を指す。薬物によって脳の状態が変容することで精神依存が生じる。

 薬物依存になり乱用を繰り返すと、やがて「薬物中毒」になる。代表的な症状が幻覚や妄想、肝臓や肺などの臓器障害だ。薬物中毒は投薬や入院治療で治るが、薬物依存を治す薬はない。

 東京都に住む会社員の斉藤隆之さん(仮名・45歳)は、20代前半のころ人にすすめられ、覚せい剤を数回吸入した。20代後半で結婚してからは使用していなかったが、40代になり、仕事のストレスから再び覚せい剤に手を出した。年に数回、仕事が非常に忙しいときに疲れたからだに鞭打つ目的で使用した。

 しかし会社の業績が悪化し、業務量が増えるにつれて使う機会が増加。やがて覚せい剤離脱後の疲労から朝起きられず、欠勤する日が増えた。不審に思った妻に問い詰められ、やめようとするが、仕事に行くと覚せい剤の欲求に襲われ、再使用を繰り返した。

 斉藤さんは妻と相談し、国立精神・神経医療研究センターの薬物依存症外来を受診した。そこで松本医師に紹介されたのが、「スマープ」(SMARPP、せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム)だ。松本医師が米国で実施されている統合的覚せい剤依存外来治療プログラムを参考に06年に立ち上げた。

「日本では精神科医の間でも薬物依存は『犯罪』であり、『治療』の対象ではないと認識されていました。しかし海外の研究では『薬物事犯の再犯防止には刑罰よりも地域での治療が有効』ということが明らかにされています。また薬物依存の人が最も再使用しやすいのは刑務所出所直後、あるいは保護観察終了直後です。そこで薬物依存を病気としてサポートする仕組みが必要だと強く感じたのです」(松本医師)


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい