放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、業界で話題の差し入れ「牛」サンドについて。
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芸能界における差し入れの三大条件は、(1)目新しくて(2)インパクトがあって、(3)もちろん美味しくて……。でも、もっとも大切なポイントは、贈った自分の株を急上昇させることができるか否かだろう。
自分の古巣だから褒めるワケではないが、在京テレビ局の中でもっともグルメな人が揃っているのはTBSだと思う。
その昔、TBSの人気ラジオパーソナリティーだった女性が、「深夜、仕事仲間に、あったかいモノを食べさせてあげたい」と、当時はまだ珍しかったイタリアンレストランでピザをテイクアウト。スタジオに差し入れた……というエピソードを女性誌で読んだときは、その心遣いと情報鮮度の高さに感動したものだ。まだケータリングのピザ屋がなかった時代の話である。
そのTBSラジオで早くから映画評論のレギュラーをもっていたおすぎさんは、ある先輩にマロングラッセを差し入れた際、「もう少し考えなさい」と叱られ、猛省したと明かした。
グルメでオシャレな人の元に平凡な差し入れを持って行くぐらいなら、手ぶらで行ったほうがまだマシなのかもしれないと思わせる一例である。
店のオープンは昨年2月。2~5人の半個室や完全個室が充実していること、一頭買いのA5ランクの山形牛・黒毛和牛を大胆に使用したバリエーション豊かな肉料理が“肉食業界人”にウケている。
牛かつサンドは、一人前150グラムとボリューム満点で、柔らかなサガリかつにオリジナルソースが絡んだ食べごたえある一品。
牛タンメンチかつサンドは、歯ごたえがあり肉厚ジューシーなオリジナルだ。
いずれも店内で食べられる人気メニューだが、テイクアウトもできると聞いた人たちが大量注文。番組収録時の差し入れに、会議・打ち合わせのお弁当にと、差し入れの「新顔」として人気を呼んでいる。
TBSの土曜日の情報番組「王様のブランチ」でもいち早く紹介され、MCの谷原章介や新川優愛が絶賛していた。
注文を受けてから調理するので、テイクアウト=差し入れとして利用する場合には事前連絡がマスト。まずはとにかく自分で味見してみることだ。
※週刊朝日 2016年6月3日号