今回の鶏肉による食中毒の影響を厚労省基準審査課に尋ねたところ、「O157やO111のように、直ちに生命を左右する症状につながるものではないため、現時点で対応するとすれば、微生物の低減などリスクを下げることや、基準を設定するかどうかなどの検討になります」と言う。ただし、食中毒が発生した場合は、食品衛生法に基づく罰則が科せられる。

 郷土料理として鶏刺しが広く親しまれる鹿児島県では、安全性にはきわめて注意している。県生活衛生課は「県独自の生食用鶏肉の安全基準を設けており、それに沿って県が認可した業者が処理、流通しています。消費者の方もそういったお店で求めますので、安心して召し上がっていただけていると思います」。

 今回の事態を受け、イベント会社は6月に秋田と青森で予定されていた「肉フェス」の中止を発表した。

「(ユッケのように)いきなり禁止ということはないと思いますが」と厚労省監視安全課は言っていたが、梅雨も間近に迫り、食中毒の危険性もグッと増す。リスクは「自己責任」の範疇となるのでご注意を。(本誌・藤村かおり、太田サトル、上田耕司/今西憲之)

週刊朝日 2016年6月3日号