津田大介「GPS情報捜査の危険性」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「GPS情報捜査の危険性」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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実際には無罪だった人のプライバシーや人権は一体どうなるのか(※イメージ)

実際には無罪だった人のプライバシーや人権は一体どうなるのか(※イメージ)

 多くの人は「犯罪者を追跡するために警察がGPSを使うのは問題ない」と思うかもしれない。むろん捜査段階で犯罪者のプライバシーや人権が制限されるのは致し方ない部分はある。問題は捜査段階では誰もが「容疑者」であるということだ。容疑者が必ず犯人であるならばいいが、容疑者の中には「シロ」の人もいる。容疑をかけられたが実際には無罪だった人のプライバシーや人権は一体どうなるのか。

 通常の強制捜査──たとえば家宅捜索の場合には捜査される際、初めに令状を見せられるので自分が不利益な処分を受ける、もしくは受けたということがわかるが、この機能を利用してGPS情報を取得された場合、だれがいつ、どんな捜査のために位置情報を取得したのか、そうしたことが闇に葬られてしまう可能性が出てくる。

 テロ対策のため、警察に大きな権限を持たせている米国であっても、プライバシーに厳格な州ではGPS情報を取得した人には事後的に通知する対応や、情報を取得する期間を制限するといった立法が進んでいる。つい先日、FBIが犯罪捜査の目的で、アップルにiPhoneのロックを解除する機能をOSに実装することを要求したが、アップルが拒否し、グーグルやフェイスブックがそれを支持するといった騒ぎも起きた。

 一方の日本では捜査当局と端末メーカーやキャリアが争った形跡がなく、法改正ではなくお役所のガイドライン変更で利用者のプライバシーに関する大きな変更が行われてしまった。犯罪捜査のために一般国民のプライバシーはどこまで犠牲にしていいのか。このような根本的な問題を国会など公開の場でもっと議論する必要がある。

週刊朝日 2016年6月3日号


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津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)

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