「症状は炎症の強さに比例します。自然に治るケースもありますが、痛みをガマンして治療をしなければ、どんどん症状は強くなっていきます」(橋口医師)

 治療の基本は、抗菌薬の点滴投与と整腸のための絶食。入院期間は平均で1週間ほどだ。憩室炎はがん化することはなく、重篤な病気ではない。だが、放置すると進行して憩室が破れ(穿孔)、便などが腹腔内に散らばると、腹膜炎を起こすことがある。産業医科大学病院救急科教授の真弓俊彦医師は警鐘を鳴らす。

「当院では年間10件ほど憩室炎の患者さんが緊急搬送され、なかには腹膜炎を起こしているケースもあります。腹膜炎の場合は緊急手術が必要になることもあり、治療が遅れると命にも関わります」

 そうならないためにも、憩室がある人は、まずは食物繊維の豊富な食事をとる、適度な運動をするなど、リスクとなる便秘の予防に努めるほか、腹痛があったら早めに医療機関で診てもらうことが大事だ。前出の橋口医師はこう助言する。

「憩室は大腸内視鏡検査で見つかることが多い。診断の目安にもなるので、医師から憩室があると指摘されたら、どこに憩室があるかも聞いておいてください」

週刊朝日 2016年5月27日号