及川:安彦さんがテレビシリーズを作っていた頃は、作品がこれほどまで進化し、深化すると思っていらっしゃいましたか?

安彦:全然思っていなかったですね。ただその前に「宇宙戦艦ヤマト」に携わっていて、あれも最初は低視聴率だったんですけど、一応のムーブメントを作りました。だからガンダムも、たぶん視聴率は取れないけど、若い人の一部は取り込めるんじゃないかというスケベ心はあった。

及川:ガンダムの劇場版が公開された時に僕は小学生でしたが、深夜から映画館に並んで見ました。熱かったですよ。あの熱が冷めないまんま、大人になってしまったなという感じです。

安彦:あの時はPTAから怒られてね。子どもが徹夜するのはいかがなものか、と。ああいう現象は初めてだったでしょう。社会問題になったんですね。

*  *  *

この後も2人の熱い対談は続いた……。(構成 本誌・菊地武顕)

注1:シリーズ第1作「機動戦士ガンダム」(1979年4月~80年1月放送)で描かれる地球連邦とジオン公国の戦争。

注2:シャアとセイラは、サイド3(後のジオン公国)の指導者で急死したジオン・ズム・ダイクンの子。本名はキャスバルとアルテイシア。

注3:幽閉先で死去。

週刊朝日 2016年5月27日号より抜粋