ジャズ・クラリネット奏者の北村英治「100歳まで吹くため、年下のクラシック奏者に基礎を習った」

週刊朝日
 今年、米寿を迎えたジャズ・クラリネット奏者の北村英治。今も現役で活躍しているジャズ界の“生きる伝説”と呼ばれる人物で、あのクリント・イーストウッドなどが聴きに来ることも。大御所に元気で現役を続ける秘訣を聞いた。

 東京・赤坂のサントリーホールで4月1日に行われた米寿記念コンサートを大成功に終わらせるなど、今も旺盛にステージをこなす。これまで世界各地で超有名ジャズ・ミュージシャンたちと共演を果たし、レコーディングに参加したアルバムは100枚を超え、その功績が認められて2007年には旭日小綬章も受章。

 クラリネットを手にしてから70年近くが経っても北村の探求心は尽きない。

「考えてみると、吹き始めてから長いですよね。でも、クラリネットを吹くことがますます面白くなってきているので、困っちゃうんですよ(笑)。こんな音を出してみたいなとか、どんどん出てくるんです。それに挑戦することがまた面白いんですよ」

 運命とも言えるクラリネットとの出会いは14歳の時。戦時中のことだった。

「当時、うちではクラシック音楽しか聴かせてもらえなかったんですけど、ある日、クラシックのレコード盤にまざって、一枚だけ小さい盤があったので、何かなと思ってかけてみたら、ベニー・グッドマンだったんです。一発でしびれちゃって、こんな音楽が世の中にあるのかと思いました。『ドント・ビー・ザット・ウェイ』という曲で、ベニーのソロはほんのちょっとしか出てこないんですけど、ビックリしましたね。そこで、初めてクラリネットという楽器の魅力を知りました。目をつむって聴いていると、ニューヨークの絵ハガキが浮かんでくるような感じでした。それを学校で友達に話したら、うちにみんなで遊びに来て、一緒に聴いていたんですよ。そうしたら、母親に『今、日本はアメリカと戦争をしているんだから、そんな音楽を聴いていたら、憲兵に連れていかれるよ』って言われましたね(笑)」

 1930年代から40年代前半まで、ジャズと言えば、ビッグバンドによるスウィング・ジャズが主流であり、ベニー・グッドマンに代表されるようにクラリネットが花形の時代だった。しかし、40年代後半からマイルス・デイヴィスらの登場により、少人数によるアドリブ重視のジャズが人気を集め、ビバップと呼ばれるスタイルが誕生。クラリネットからトランペットやサックスが主役の時代へと変わっていく。

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